債権譲渡登記は、主に資金調達の手段として、法人が有する金銭債権を担保目的や流動化・証券化目的で債権者へ譲渡し、債務者以外の第三者への対抗要件を備えるための制度です。
これまで、金銭債権の譲渡や金銭債権を目的とする質権の設定を債務者以外の第三者へ対抗するには、民法で定める確定日付のある証書による債務者への通知を行うか、債務者の承諾を得なければなりませんでした。しかしこれでは債務者が特定していない将来債権についての対抗要件を得ることはできませんし、多数の債権を一括して譲渡する場合に、個々の債務者ごとに通知または承諾の手続きをとることは実際上困難です。また、対抗要件を得るための債務者への通知によって、債権を譲渡した法人に信用不安が生じるおそれもあります。そこで、法人がする金銭債権について、登記をすることにより債務者以外の第三者に対する対抗要件を備えることができるとしたものが債権譲渡登記です。
民法 | 債権譲渡登記 | |
債務者対抗要件 | 債務者への通知または債務者の承諾 | 登記事項証明書の交付・通知 |
通知を行える者 | 譲渡人 | 譲渡人または譲受人 |
第三者対抗要件 | 確定日付のある債務者への通知 または 確定日付のある債務者の承諾 | 債権譲渡登記 |
二重譲渡の優劣基準 | 確定日付通知の到達時または確定日付承諾の先後 | 債権譲渡登記の日時 |
債権譲渡登記には登記の効力が存続する期間の上限が定められています。
※上記の期間を超えて存続期間を定めるべき特別の事由がある場合は、その旨を証する書面を添付し、50年以上・10年以上とすることもできます。
債権譲渡登記をするためには、譲渡をする債権の特定が必要になります。この特定に不備があったり誤った登記をしてしまうと、債権譲渡登記の効力が争われ登記が無効になってしまう可能性があります。譲渡できる債権には、大きく分けて「債務者特定の既発生債権」と「債務者不特定の将来債権」があります。主に以下の事項で特定します。
登録免許税 | 7,500円(債権の個数が5000個まで) |
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司法書士報酬 | 7万円~ |
※その他、登記事項証明書取得費、交通費などの実費が必要です。債権の個数や難易度によって増減がありますので具体的な金額はお見積りを出させて頂ければと思います。
※個人の場合は住民票になります。
※債権譲渡登記をするためには、譲渡する債権の特定が必要です。金額や債務者等がわかる資料をご用意ください。
※債権譲渡担保契約を確認するために必要になります。
債権譲渡登記では、譲渡する債権の債務者などの登記事項がプライバシーの点で問題があることから、登記事項証明書の取得請求権者を当事者など関係者に限っています。そこで、登記事項証明書とは別に、譲渡債権の内容については記載されませんが、誰でも取得できるものとして「登記事項概要証明書」「概要記録事項証明書」を設けています。それぞれの違いは以下のとおりです。
登記事項証明書 | 登記事項概要証明書 | 概要記録事項証明書 | ||
交付を請求できる法務局 | 東京法務局中野出張所 | 東京法務局中野出張所 | 譲渡人の本店所在地又は交換システム稼働庁 | |
①譲渡人 | ○ | ○ | ○ | |
②譲受人 | ○ | ○ | ○ | |
③登記番号 | ○ | ○ | ○ | |
④登記の年月日 | ○ | ○ | ○ | |
⑤登記原因及びその日付 | ○ | ○ | × | |
⑥登記の存続期間 | ○ | ○ | × | |
⑦譲渡債権の総額(既発生債権のみ譲渡の場合) | ○ | ○ | × | |
⑧譲渡債権の特定事項 | ○ | × | × | |
交付請求権者 | 譲渡人・譲受人・利害関係人・譲渡人の使用人・譲渡債権の債務者 | 誰でも請求可能 | 誰でも請求可能 | |
手数料 | 1個の債権を証明したもの | 1通500円 | 1通300円 | 1通350円 1通の枚数が50枚を超える場合,350円にその超える枚数50枚までごとに100円を加算した額 |
1個を超える債権に係る登記事項を一括して証明したもの | 1通500円 1通を超える個数1個ごとに200円加算 |
※現在、全ての法務局が交換システムに対応していますので全ての法務局で取得可能です。
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